8月25日(2018年)にNHK Eテレでアニメ映画「聲の形」で地上波初放送されますね。
一足先にU-NEXTで見てみました。
もう後半は涙が止まらなくなるほど泣いてしまいました。号泣です。
名作です。
聴覚障碍者へのイジメなどデリケートなことを扱うストーリーなので人によっては、
「見ていられない…」
となってしまうこともあるでしょう。
でもだからこそ「聲の形」を観た人それぞれが、いろいろと考えることができる良さがあると思います。
繰り返し観てますが新たな気づきや発見があって見応えるのある映画です。
それではアニメ映画「聲の形」の感想や評価をレビューしていくので、テレビ放送で観るかどうかや動画配信サービスサイトで観るかどうか参考にしてください。
アニメ映画「聲の形」は、こういう人におすすめ
- 小学生や中学生・高校生のときにイジメに関わった・見たことがある人
- 友達や他人と、どこか距離を感じてしまう人
- 人間関係の悩みで落ち込んでいる人
予告編
アニメ映画「聲の形」の予告編はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=Klp3kzCM-OA
あらすじ(だいたいのストーリー)
聲の形の内容はこんな感じです。
将也のクラスに聴覚障碍者の硝子が転校してきた。
みな戸惑いつつも最初は硝子と打ち解け合おうとする。
しかし硝子によって他の生徒がノートをとれない、音楽コンクールがうまくいかないなどのことがあり、しだいに硝子とクラスメイトに溝が出来ていく。
クラスメイトたちが硝子のことをジャマに思い始めていると感じとった将也
監督・キャスト(登場人物)
監督
山田尚子
役名(声優)
石田 将也(入野自由)
小学校の時西宮硝子をいじめていた。高校生になり西宮硝子と会う決意をする。
入野自由はアニメ映画「言の葉の庭」でタカオの声優もやってますね。
西宮硝子(早見沙織)
聴覚障碍者。筆談ノートなどを使い周りの子たちと打ち解け合おうとするがうまくいかず将也や他のクラスメートから嫌がらせを受ける。
高校生になり将也が小学校の時の筆談ノートを持ってきたことから将也との交流が始まる。
感想・評価
なるべくネタバレなし
ボロ泣きしました。
最初は障碍者を扱った感動ものなのかな・・・と思いつつ観てたんですが、後半になると、そういうのを通り越してボロ泣きしてしまいました。
「聲(こえ)の形」はイジメや聴覚障害者といった題材を扱っていますが、それ以外にも友達とか人とのつながりのことも丁寧に描かれます。
ものすごく繊細な心の動きを扱っているのでしょう。
こういう繊細な心情を描く映画って重苦しい雰囲気になりがちです。
しかし、マリアという石田家にいる子どもが明るい雰囲気を持っていたりして「聲(こえ)の形」が暗くなりすぎないようになっているので見やすいです。
物語後半になるにつれて、じわりじわりと涙腺が緩んできます。
そして花火大会のあとあたりに、ついに涙腺崩壊しました。
「聲(こえ)の形」は、最初からずっと分かり合えない人たちのことが描かれます。
- 自己保身
- 周りから除け者扱いされはしないかという恐怖
- 特定の人物を攻撃することで連帯感を得ようとする人たちに同調しておかないといけない圧力
そんな均質な集団生活で起りやすい人間関係がこれでもかと描かれるわけです。
たとえ小学生であろうと自分の身が一番かわいいので、なんとかして周りとなるべく同じであろうとがんばります。
こういうことって大人になってからだと、なんてせまい世界なんだろうって思うと同時に、将也や硝子の必死さに心動かされていくんです。
現代のいじめを扱った勇気のあるアニメ映画
小学生時代クラスに硝子が転校してきた始めの時期は、まだクラスのみんなは聴覚障碍者である硝子に慣れようとコミュニケーションを重ねます。
しかし、だんだんと硝子がくる前のクラスの状態とは違った出来事が起こり始め戸惑い、だんだんとみんなが距離をとるようになり、みんなとは明らかに「違う」存在である硝子をクラスから取り除こうとするようになります。
それが執拗な嫌がらせへと発展していき、そしてちゃんと止める者が誰もいなくなっていきます。
良くないことだと分かっている者も、自分が止めに入れば今度は自分がイジメの標的になるかもしれない恐怖があるわけです。
将也の人物設定として「退屈を嫌う」性格があり、将也は硝子をからかうことで退屈しのぎをしだします。
それがだんだんとエスカレートしていったのが小学生時代ですね。
止める者が子どものなかにも大人のなかにもいないので、ひどい状態になってしまうわけです。
聴覚障碍者の子がクラスにいたわけではなくても、このような教室の人間関係の状態を、程度の差はあるけれど体験してきた人は多いでしょう。
- いじめる側になった人
- いじめられる側になった人
- なるべくかかわらないようにした人
いろいろいると思います。
観客は、大なり小なり思い当たる事の実体験があるケースが多いでしょうから、聲の形という作品にいろんなことを考えてしまわざるをえないのでしょう。
一番むかつくのは担任の竹内先生なのだがしかし…
小学生ぐらいの子どもだと、まだまだ自分をコントロールできないでしょうから、ときに残酷になってしまうことってあると思います。
いじめる子、いじめれる子、笑ってごまかす子などいろんな子がいて学んでいくわけですがエスカレートするようなら大人が止めることになるでしょう。
クラスのなかでもっとも子供たち全員に接する機会が多い大人が担任の先生です。
小学生時代の子供たちの経験は担任の先生がどういう人かによって、だいぶ変わるのではないでしょうか。
映画に登場する将也の担任は竹内先生。
映画を観る限りは竹内先生というのは、
- 問題はなるべく避けたい
- とにかく生徒になめられないように威圧しとけばOK
- 子どもたちの成長を考えるというよりは事務的に仕事をしている
- 子どもたちに関わるときは上から後で文句を言われないようなアリバイ作りを意識
- 基本ほっておくという姿勢
というふうに見えます。
そして将也の嫌がらせがエスカレートしすぎて校長がある件で教室に来たときの竹内先生のやり方が、なんだかひどいです。
明らかに校長がいることを意識しての言動ではないでしょうか。
竹内先生は、
「自分はやめろといったのに言う事を聞かない将也がすべて悪いのだ」
「だから俺に責任はない。」
と将也1人に責任をなすりつけているように見えてしまいます。
たしかに将也のやってきたことは嫌がらせを通り越して、もはや硝子と家族に損害を与えているというレベルになっていたわけですから将也は言い訳できないでしょう。
しかし竹内先生は、ほぼ見て見ぬふりが多いような印象でした。(マンガ版では一緒になって笑っているらしい)
「聲の形」全7巻読みました。たしかに竹内先生、将也の西宮への言葉に笑ってますね。マンガを読んで思ったのは竹内先生にとって将也や硝子の出来事は「昔そんなことがあったな」という程度の認識なんだろうなってことです。
先生という仕事のなかでの通過点でしかない。そんな印象ですね。
ドラマとかでよくあるいい先生は、クラスのみんなと硝子のような子との関係についてクラスのみんなで話し合うとか、先生と生徒が真剣に向き合って話すみたいなことが描かれます。
しかし実際は真剣さをもって生徒と向き合う先生ってかなり少ないんじゃないかな~って思うんですよね。
多くの先生は真面目に生徒と向き合っていると思いますが、なかには竹内先生みたいに基本ほっておく姿勢の人もいそうです。
竹内先生にしてみれば、なるべく問題を起こしたくないというのが本音なのだと思います。
世間のニュースや話題を見ていると、かなり敏感にならざるをえないですよね。
子どもたちと向きあうのではなく世間や親、自分の上司のことを見て仕事をするので精いっぱいという事情があるのかもしれません。
「壁」があると丁寧にコミュニケーションすることの大事さが分かる
聲の形は聴覚障碍者と健常者とのコミュニケーションが描かれます。
高校生になった将也と硝子が話す様子を見ていて思ったのが「壁」があるからこそ、より丁寧にお互いの意思を伝えないといけない大切さが分かるということです。
健常者と健常者が話す場合は、ある程度、
(このあたりは相手も分かってくれるだろう)
という考えの元に会話しますよね。
しかし聴覚障碍者と健常者との会話だとお互いに自分の伝えたいことが相手に伝わっているかを考えながらコミュニケーションをとることになります。
つまり「察する」ことを期待しないコミュニケーションになることが多いのでしょう。
これは文化の違う国の人とか言語の違う人と話すときにも少なからず当てはまる部分があるんじゃないでしょうか。
たとえば日本人と日本人が話すときは文化や言葉など共通している部分が多いので察することを期待しがちです。
そして会話はしているんだけれど、じつはあんまりお互いの意思が通じていないこともあるわけです。
会話しているけど後から考えてみたら、お互い自分の言いたいことばっかり言ってるだけとか、相手がただ同意してただけで自分の言いたいことばっかり言ってたとかあるんじゃないでしょうか。
相手が察してくれることを期待できない状態でのコミュニケーションは、
- 相手に伝わっているのか
- 相手が理解してくれているのか
- 相手がどう考えているのか
こうしたことを考えて丁寧にコミュニケーションをとらないと誤解が生まれてしまう可能性が高いですよね。
「ちゃんと話す」
「ちゃんと聞く」
こういうことが大事なんだということが「壁」があることで初めて分かりやすくなるんじゃないかと、聲の形の将也と硝子の一生懸命な会話を見ていて思いました。
察してくれることを期待しすぎる会話が当たり前になると、
- 言いたいことは伝わっていると決めつけてしまう
- なんで分かってくれないのかと勝手に1人でイラついてしまう
- 自分はこう思われているんだと思い込んでしまう
などなど被害妄想っぽい考えで自分の頭がいっぱいになってしまうでしょう。
察してくれることは期待しすぎないほうが、もしかしたらいいのかもしれないと思います。
時代の変化が早くなったと言われる現代では、日本人同士でも察することを期待しすぎたコミュニケーションに頼っていると勘違いが生まれやすくなっているのではないでしょうか。
マンガも読みたい
聲の形のアニメ映画はコミックで描かれたストーリーをいろいろとカットしてまとめているような作り方になっているそうです。
私はマンガの聲の形をまだ読んでいないんですが、映画のなかでたしかに分かりにくいシーンがたまにあります。
コミック版のほうを読んでいると、アニメ映画で分からなかったシーンがよく分かるようになるのでしょう。
映画だと2時間ほどの時間に詰め込むことになるので、漫画版を先に読んでいた人は映画版はダイジェスト版みたいに見えたのかな。
紙のコミックの全7巻まとめ買いはこちら
「聲(こえ)の形」の感想まとめ
ということで「聲(こえ)の形」の感想でした。
まとめると、
- 泣ける映画
- イジメのことなどを扱った勇気ある映画
- 担任の竹内先生みたいな人はいそう
- 丁寧に会話することの大事さが分かる
- 漫画も読んでみたい
といったところです。
聲の形とってもいい映画でした。
日本を舞台にしていて多くの人が程度の差こそあれ体験・経験していることをテーマにしているため心に深く刺さる映画になっていますよね。
聲の形を見た人は生きる姿勢みたいなものが、じんわりといい方向へ変わってくるんじゃないかなって思います。
「聲の形」以外にも泣けるアニメ映画を紹介しています。
視聴可能な動画配信サービスがあります
U-NEXTという動画配信サービスで、以下の3点の条件をクリアすれば観れます。
この3点の条件をクリアすれば「映画 聲の形」を観ることができますよ。
(2023年5月19日時点の情報です。最新情報はU-NEXTにてご確認ください。)
U-NEXT登録してみて気に入れば、解約しなければ自動で課金が始まるので、そのまま継続して利用できます。
ブルーレイ・DVD
公式ファンブック
作者 大今良時による解析やインタビューが収録されています。
作者である大今良時自身が、どういう思いで聲の形を描いたのかを知りたい人には必読の本でしょう。
「聲の形」は、いろいろと考えさせてくれるいい映画です。
観終わった人のなかには人との接し方がちょっと変わってくる人もいるのではないでしょうか。
「聲の形」みたいな似てる映画を探すなら「まとめ記事」からどうぞ
「聲の形」と似た映画や関連作品お探しの人に、まとめorランキング記事紹介します。
「感動」とか「泣ける」「落ち込んだ時」「監督別」など映画のタイプ別にまとめている記事から、似ている映画や関連作品を見つけやすくなりますよ。
コメント
この話は好きだな
小学生時に友達が欲しかった少女と
少女に興味を持ったので話をしてみたかった少年
たったそれだけのことが、何もかもを壊滅させるほどこじれまくる
それを高校生でもう一度試す、次は慎重に試す
そこでもまた何もかもを壊滅させるほどこじれまくる
これは話の核に聴覚障害を使ったけど、障害を使わなくても
話は作れただろうなと思った
コメントありがとうございます。
「聲の形」いい作品ですよね。
>これは話の核に聴覚障害を使ったけど、障害を使わなくても
話は作れただろうなと思った
これ、まさにおっしゃるとおりだと思います。
聴覚障害を設定することで、人と人の関わりにある「壁」みたいなものを視聴者により感じてもらえるようにしたのでしょう。