「この世界の片隅に」感想・評価。最高に心に響く泣ける名作映画。不思議な感情になります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

瀬戸内海
ほんとすごい・・・

なんでこんなにも落ち着くんだろう。

「この世界の片隅に」を初めてnetflixで視聴したときに、そんな不思議な気持ちになりました。

そして後半の戦争の影響が出てくる部分での、あまりにもリアルなシーンや主人公すずさんの心の中の声。

とにかくとにかく、こんな傑作に出会えたことに感謝です!

前から「この世界の片隅に」が話題になっていたことは知っていたんです。

でも、どうせ戦争ものの悲しい映画なのかな、それを田舎に住む人の視点から描いただけのような映画なんだろうなって思って、それほど観たい!っていうふうにはなっていませんでした。

もうね。そんなふうに思っていた自分の予想をはるかに上回る名作で、「なんて映画なんだ…」と、ほんと不思議な気持ちになりながら映画前半からボロボロと泣いてしまいました・・・。

「この世界の片隅に」を繰り返し観るほどハマり、最近は京都の出町座という映画館で観てきました!

「この世界の片隅に」の魅力を、なんとか言葉にしてレビューしていくので視聴するかどうか参考にしてください。

こういう人におすすめ

  • 日々の暮らしをもっと大切にして自分を見つめ直したい人
  • 泣ける映画だけれど希望ももらえるのが観たい人
  • 戦争の本当にリアルな怖さを知ってみたい人

予告編

予告編はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=kczb7IJJg0g

いやもう予告編観てるだけで、うるっときますね。

戦争を扱っている映画なのに、ここまでほのぼのとしていて爽やかさのある雰囲気って珍しいんじゃないかなあ。

やっぱり広島弁がいいんですよね。

あらすじ

広島に住むすずは、19歳のときに呉の北條家に嫁ぎ周作の妻となる。新しい暮らしに慣れないすずだったが周作との距離は少しずつ近くなり、毎日を健気に暮らしていた。そんななか呉にも戦争の影響が出始めるのだった。

監督・原作者・主要キャスト(登場人物)CV声優

【監督】片渕須直

【原作マンガ】こうの 史代

浦野・北條すず(のん)
「この世界の片隅に」の主人公。呉に嫁ぎ北條家の家事全般を担う毎日を送ることになる。

北條周作(細谷佳正)
すずの夫。録事という仕事をしている。性格は穏やか。

水原哲(小野大輔)
すずの幼なじみ。水兵になる。

黒村径子(稲葉菜月)
周作の姉。きつい性格だが根はいい人。

感想・評価

なるべくネタバレなし

なぜか映画前半で泣きました。

「この世界の片隅に」観ていて泣いてしまいました!

それも悲しい出来事が多い映画後半よりも前半のほのぼのシーンが多いところで・・・

なんで、こんなにほのぼのしているシーンで泣けてくるのか正直分かりません。

なんでしょうね。

すずさんのけなげに暮らす日常みたいなものに飢えている自分がいるみたいな感情なんでしょうか。

日々の暮らしを丁寧に丁寧に送っている。そんな日常がたまらなくいとおしいみたいなふうに思えてしまいます。

でも、すずさんは映画を全部見終えた今思うと、自分の暮らしについてすごく満足しているっていうわけではないですよね。

自分が決めた相手ではない男性と結婚して、その男性の家に入って家事などをするといった事は今では絶滅した生き方ではないでしょうか。

すずさんが生きた時代は、そうすることが生きる方法の一つでもあったのでしょう。

前半は、かなりほのぼのしてます。

「この世界の片隅に」は、日本とアメリカの戦争があった時代が舞台となっています。

しかし戦争のことは、どちらかというとメインテーマじぁないのかなって思いました。

「この世界の片隅に」を観る前は、なんとなく戦争の悲惨さを1人の女性の視点から訴えまくるみたいなストーリーなのかな~なんて思ってました。

ところが!

映画が始まって半分ぐらいまで観てて、
なんてほのぼのしたストーリーなんだ
って思ってました。

後半になると、すずさんの暮らしに戦争の影が入り込んできます。

すずさんという1人の女性の視点から日々の暮らしや迫り来る戦争の事が描かれるのが良かったです。

ほのぼのしているからといって、すっごく楽しいとか明るい暮らしぶりとか、そういうのじゃないんですよね。

ほのぼのしていながら、どこか切なさがある、愛おしさがある・・・

なんか、すごい不思議な雰囲気を持った映画です。

その説明しにくい不思議な雰囲気が、たぶん視聴者の心の奥底の「なにか」に触れるのだと思います。

こんなにも「戦争の恐怖」を怖いと思ったのは初めてでした

普段から戦争映画とか海外ドラマとかを観ることがあります。

映画とかドラマでの戦争シーンには慣れている自分がいます。

そんな作品のなかには、戦争の悲惨さとか反戦がメインのテーマになっている映画やドラマがあります。

そうした映画やドラマのどの作品よりも「この世界の片隅に」はリアルさのある恐怖がありました。

こうの史代のあたたかな絵柄なんだけれど、あくまですずさん視点を中心に戦争の余波が襲ってくるというところに恐怖があるんです。

戦争を描いた反戦映画やドラマって、どこか私たちの今の生活からは想像しにくいシーンが多かったりします。

それにあまりにグロすぎると、それで観るのを止めてしまうこともあります。

子どもころ見た広島の原爆資料館とかはだしのゲンって、戦争について考えさせられるとかではなくて、ただ怖かったぐらいしか印象に残っていません。

大人になった今だと、また違う感想になりそうですが。

「この世界の片隅に」は、前半のほのぼのシーンによって、私たちの今の暮らしとつながっているんだって思えてくるんです。

今の私たちの暮らしとつながっているんだなって前半を観て思うようになった頭に、少しずつ戦争の余波が降りかかってくるために、よけい怖さを感じたのでしょう。

すずさんなどの一般的な人々の暮らしに、映画のような兵器による攻撃などが襲い来る感覚が、とってもリアルに感じられたんです。

戦闘機のものすごい早い銃弾の音とか、照明弾の火、防空壕で空襲の爆撃の衝撃に耐えるすずさんたち、防弾の破片がすごい速さで地面に刺さる様子などなど・・・

数多くの「日常に侵入する戦争の影響」がリアルさをもって描写されていました。

今このときもリアルに戦争は起こっているわけです。

そう思うと、今の私たちの暮らしはとっても安全で自由があるんだと思い知らされたように思います。

すずさんが切なくてかわいすぎる

ほんと、すずさんがかわいい!

広島弁の話し方がかわいらしいし、物腰とかけなげな性格とかがいいんですよね。

すずさんの様子を見ていると、気持ちがすごく穏やかで落ち着いてきます。

周作さんは、すずさんのそういうところに惚れたのかもしれないですね。

けなげに見えるけど、すずさんは内面にいろいろ抱えている

けなげで穏やかな性格のすずさんですが、心の中にはいろいろと抱えているのが映画のなかで見て取れます。

たぶんすずさん自身そんな自分の心の中のことに、あまり気づいていないか、考えないようにしてるのかな〜なんて思いました。

すずさんはよく「うちは、ボ〜っとしとるけぇ〜」と言うんですが、自分の行く末についてあまり考えても仕方がないという思いがあって「ボ〜っとしとるけぇ〜」と言ってるのかな。

今の時代にすずさんがいたら、進路を考えるときに美術関係の学校に進んでみたいななんて考えたのでしょう。

すずさんは、周作さんが好きで北條家の人々に好感を持っているけれど、映画を観ていると、どうしてもここから出ていって自分の力みたいなものを試してみたいなっていう想いがあったのではないでしょうか。

すずさんの声優のんの広島弁が心地いい。すばらしい

主人公すずの声・声優はのんがしています。

のんは、昔、能年玲奈という名前で活動していた女優です。

NHKの朝ドラマあまちゃんで一躍有名になった女優です。

オーディションかなにかで、のんで即決だったようです。

たしかにのんの声、すずさんというキャラクターにぴったりですよね。

可愛らしさと切なさ、おっとりした感じがあります。

それに普段大人しい人が、激しい感情で話す時の「抑えきれない」感じがよく出ているのもいいななんて思いました。

プロの声優には技量面とかで劣るのだと思いますが、今ではすずさんの声はのんでピッタリと思うようになりました。

最初からのんの声に違和感はなかったですが。

プロの声優ってやっぱりすごいんだなと思ったのは水原の声ですね。

言葉にできない感情がこもっていて、サッパリとした性格の水原の声がすごいなと思いました。

水原の声優は、小野大輔という人です。

不思議な魅力あるアニメ映画。繰り返し観てます

「この世界の片隅に」は、ほんと不思議な雰囲気を持った映画です。

戦争の悲惨さを訴えることがメインテーマだとは思えないんですよね。

「この世界の片隅に」がもつ不思議な雰囲気は、やはり原作者のこうの史代の世界観からくるものでしょう。

淡々とした日常を描いているようでいて、すずさんの内面の想いがにじみでてくるような雰囲気を持っているところが、なんともいえず観る者の心に響いてきます。

こうの史代の漫画で「夕凪の街 桜の国」というのがあります。

「夕凪の街 桜の国」の出版社のコメントかなにかで、
>読後、まだ名前のついていない感情が、あなたの心の深い所を突き刺します!
っていうのが書かれています。

この「まだ名前のついていない感情」っていうのが「この世界の片隅に」にもあるんでしょう。

「まだ名前のついていない感情」って、この世界の片隅にを観てると分かるんですよね。

なんとも言葉で表現しにくい感情を思い起こさせてくれるんです。

「夕凪の街 桜の国」は「夕凪の街 桜の国2018」としてNHKでドラマ化されますね。

「この世界の片隅に」も2018年夏に実写連続テレビドラマ化されるそうです。

こうの史代「この世界の片隅に」今夏に連続TVドラマ化
https://natalie.mu/comic/news/274229

映画のように柔らかい雰囲気をもつ実写ドラマになってほしいですね。

昔、2時間ぐらいのテレビドラマで実写化されたんですが、原作マンガのもつ雰囲気とはまた違ったようになっていたようで「ひどい」と思った人もなかにはいたみたいです。

昔の2時間ドラマの「この世界の片隅に」はアニメ映画やマンガとは、また雰囲気の違うドラマだと思っておいたほうがいいみたいですね。

原作マンガ単行本買いました

「この世界の片隅に」には、こうの史代の原作マンガがあります。

上・中・下と三巻に分かれています。

アニメ映画を観たあとマンガも読みたいなと思って上・中・下一気に購入してきました!

上巻は、ほぼ映画とストーリーは一緒です。

中巻は、映画では描かれていないシーンがありました!

映画では省かれていた部分が補完されて、さらにストーリーが増えていますね。

それと、マンガのコマの欄外にこうの史代さんが書いていると思われる注釈があって、より当時の事が分かるようになっています。

たとえば、その当時の社会状況とか用語の解説みたいな注釈です。

マンガは、まだ全巻読み終わっていないので読み終えたら別記事で感想を書きます。

原作マンガ以外にも、ノベライズ小説や絵コンテ集やガイドブックなど、いろいろと「この世界の片隅に」関連の本が出版されています。

映画とマンガ、どちらを先に見ればいいのかっていうと、
おすすめは映画の次にマンガを読む
ですね。

映画を観て広島弁のかわいらしい話し方などを体験してからマンガを読むと、マンガのセリフが広島弁のかわいらしい話し方で再生されます。

広島弁を知らない人が先にマンガを読むと、映画の中のような話し方で頭の中で再生されないでしょう。

映画で、ちょっと分からない部分があっても十分に、あの「言葉にできない不思議な感情」を体験できます。

ですので、先に映画を観ることをおすすめします。

映画を観た後にマンガを読むと、さらに「この世界の片隅に」の世界観が深まって、映画のあのシーンは、こういうことだったのか!って分かる楽しみもありますよ。

映画館で「この世界の片隅に」を体験したかったので京都の出町座に観に行きました

「この世界の片隅に」私はネットフリックスで観ました。

パソコンのディスプレイで鑑賞しました。

ネットフリックスで「この世界の片隅に」を観たことがきっかけになって、泣いたしどハマりして原作マンガを購入して読んでます。

今思っているのは「この世界の片隅に」を映画館で観たいな〜っていうことです。

「この世界の片隅に」はパソコンのディスプレイで観ても映画館で観ても、そんなに変わらないんじゃないの?って思われるかもしれませんが、「映画館で観る」って特別な体験なんだっていうことが最近わかりました!

きっかけはペンタゴンペーパーズという映画を映画館で観たことです。

自宅のディスプレイで観るのとは没入感がまったく違うんです!

「この世界の片隅に」は映画館でロングラン上映中です。

最近は500日を超えて映画館で上映されているってことで記録的なロングラン上映となっています。

さすがにイオンモールシネマとか大手の映画館では常時上映してません。

「この世界の片隅に」の上映が続いているのは中小規模の映画館ですね。

私が今度観に行こうと思っているのが京都にある出待座というところ。

出街座は、映画館や書店、カフェが一緒になった文化施設です。

【追記】

このブログ記事の下書きをしていた後に、なんと出町座での「この世界の片隅に」の上映が2018年4月27日までで休止するということを出町座のツイッターで知りました。

京都に用事があるついでに出町座に「この世界の片隅に」を観に行こうって思ってたのに・・・

それで急遽京都に用はないけど出町座へ「この世界の片隅に」を観に行くためだけに出かけました!

出町座で「この世界の片隅に」を鑑賞して良かったです。

わざわざ他に用もないのに京都まで観に行くのもな~なんて思って観に行ってなかったら、しばらくしてから、あ~やっぱり観に行っとけばよかったな・・・なんて後悔していた可能性大です。

出町座の映画館で「この世界の片隅に」を鑑賞してみて家で観るのとの一番の違いは、なんといっても音響!

音がぜんぜん違います。

このあたりのことは、また出町座についての記事のときにくわしく書きたいと思います。

他にも、たまに再上映されたり、普段は映画上映しないようなところで上映会が開催されるなど、多くの人に愛されている映画となっています。

学校の授業として体育館で上映ってうこともしてそうですね!

最初は自伝と思うほどのリアルな描写がすごい

「この世界の片隅に」を初めて観たときは、すごいリアリティのある描写だったので自伝なのかと思ったぐらいです。

すずさんは架空のキャラクターですが、実際今でもすずさんが存命中かとおもうほどのリアルさがあります。

戦争末期の人々の日常の暮らしとか、日常生活に入り込んでくる戦争の様子など実際に体験していないと表現できないんじゃないかというシーンがたくさんあるからです。

とくに映画後半ではリアリティのあるシーンがたくさん登場します。

リアリティのあるシーンがどんななのかは映画観てのお楽しみです。

後半より前半のほうが心動かされた

「この世界の片隅に」を観終わって、こう思った人って多いとおもうんだけどな〜

後半より前半のほうが、なんか心動かされた…

…そんなことないかな。

すくなくとも僕は前半で、なぜか涙が出てきて泣いてしまいました。

戦争の色が濃くなる後半は、グロい描写が増えるなど、たしかに悲しいわけですが、やっぱり戦争って怖いな悲しいなと再確認するみたいな気持ちになります。

ただ「この世界の片隅に」は、日常に入り込んでくる「戦争」がすごいリアリティがあってすごかったです!

しかし映画前半を観たときみたいな、静かな泣いてしまうような深い不思議な感情は後半では薄くなります。

すずさんが自分が置かれた環境のなかで素直に世界を見つめて丁寧に丁寧に柔らかく生きる姿が、愛おしく感じられて仕方がない…そんな感情のように思います。

う〜ん、この感情なんて書いたらいいか、ハッキリと文章にできないのがもどかしい…

まあなんだろう、とにかく「この世界の片隅に」観てくださいとしか言えません。

「この世界の片隅に」は繰り返し観れば観るほど味わい深くなる映画

もうたぶん3回ぐらい「この世界の片隅に」を観ました。

観れば観るほど、いろんなシーンが愛おしくなってきます。

前半のすずさんの日常を描くほんわかしたいろんなシーンがいいし、後半の戦争が日常に入り込んでくるリアルさのある描写がすごいなと思います。

前半で好きなシーンの一つほ、子供時代のすずさんと妹がほっぺに手をあてて「ひや〜」っ言うところです。

他にも後半の水原とすずさんのシーンもいいし、いろいろと味わい深い場面がたくさんあります。

今、原作マンガを読んでるところです。

原作マンガは映画では描かれていない部分が補完されています。

原作マンガを読んでから、もう一度映画を観ると、ここのシーンはこういうことなのか〜っていうことが分かったりして面白いです。

周作さんの帳面の一部が切り取られていた理由が分かったりして衝撃でした。

あとチャンスがあれば映画館で観て欲しいです。

映画館の良さって、なんといっても家庭ではなかなか実現できない音響の良さがあることです。

この前京都にある出町座で「この世界の片隅に」を観てきましたが、やはり音響が家で動画配信サービスを利用して観る状態とは段違いによかった!

海や波打つ音、戦闘機や爆撃の音などなど、まるでそこにいるかのような音の聞こえ方でした。

爆撃や大砲の発射音は体がビクッとしてしまいます(笑)

それとコトリンゴの歌や劇中音楽が、より味わい深く聞こえるようになります。

これは初めての「この世界の片隅に」鑑賞は映画館が良かったな〜って、ちょっと後悔しました。

映画館並みの音響を自宅でそろえようと思ったら、かなりお金かかりそうですよね。

それに自宅で映画館並みの音量ともなると近所迷惑にならないように防音のことも考えないといけないでしょう。

最初は伝記・ノンフィクションかと思うほどリアルなシーンが多い

初めて「この世界の片隅に」を観たときは、当時の生活や照明弾や砲弾の破片についてなど、かなり細かく描写されていて、これは原作の作者の実体験を元に作られた映画なのかな〜なんて思うほどでした。

マンガ原作者のこうの史代は戦後生まれで実体験とか実話ではないんです。

自分が経験していない出来事を、あれだけリアルに描くことができるなんて、びっくりしました!

何回か繰り返し「この世界の片隅に」を観ていると、じわじわとこのリアルな描写の凄さがわかってきます。

こうの史代だけでなく映画の片添須直監督は「この世界の片隅に」制作のために6年かけてるそうです。

6年!

いや〜すごい。

映画制作のために文献やヒアリング調査など、かなり詳細に調べているとのこと。

さらに片添須直監督、自分のお金を使ってまで制作を続けていたんだそうです。

すごい執念ですよね。執念というよりは、「この世界の片隅に」のアニメーション映画を作りたくて仕方がなかったのかな。

ここの片渕須直監督のインタビューは読み応えあります。
http://kai-you.net/article/35961

片添須直監督や多くの人々の協力があって、あれだけリアルさを感じさせる数々のシーンを作ることができたってことですね!

「この世界の片隅に」は、おもにすずさんの日常を描いているだけのストーリー。

ただ「日常」を描いただけの作品に、ここまで感動してしまうのは、ものすごくくわしく調査されて再現されたからこそ、戦争末期の「非日常」が、どこかで平成の日本と確実につながっているんだと感覚で分かるからってことなんでしょう。

反戦映画っぽくない

「この世界の片隅に」は第二次世界大戦当時の日本の戦争末期を舞台にしています。

戦争のことも描かれています。

いろんな戦争映画なんかでは、これこれこういう歴史の流れがあって日本がいよいよ本土を攻撃され始めて…っていう解説とか全体的な歴史の流れが分かるように作ってあるものです。

でも「この世界の片隅に」は、そういう全体の歴史の流れみたいなものの解説っぽいのは、ぜ〜んぜ〜んありません。

戦艦大和のことがチラッと登場したぐらいかな。

もうあくまですずさんという1人の女性からの視点のみで日常も戦争のことも描かれています。

「反戦」っていう雰囲気まったくなし。

あからさまな反戦のメッセージ的なものはないんです。

でも、「この世界の片隅に」を観たあと思ったのは、やっぱりリアルに自分の周りに戦争があるなんて怖すぎる…ということでした。

映画前半のほのぼのとしたすずさんの暮らしに少しずつ戦争の影響が入り込んでくる、あの映画でのリアルさはすごいものがあります。

子供のころに観たテレビやマンガなど反戦ものっていうのは、とにかく悲惨、怖いっていうことが全面に出ていて目を背けることが多かったように思います。

子供ですから、怖いなら見たくないってなりますよね。

まして戦時中の描写っていうのは非日常的なシーンばかりになってしまいがちで、「あの時代はそういう感じだったんだな」ぐらいにしか思わないなんてことになってしまいます。

「この世界の片隅に」は、くわしい調査やヒアリングなどで作られた世界が土台にあり、戦争末期のすずさんのような一般的な人たちの暮らしの空気感がすごくリアルに再現されているのではないでしょうか。

だからこそ「戦争」の恐怖感が素直に心のなかに入ってくるのでしょう。

自分の真上で戦闘機の戦いが繰り広げられているときの、すずさんの「うちは、なんでこんなこと考えてるんじゃろう」みたいなセリフのとこなんか、もうほんと鳥肌がたつほどリアル。

あんな危ない状況なのに、ああいうことを考えてしまうリアルな心理描写にはしびれました。

あと印象的なのは、自分の周りの人たちが、あっさりといなくなるということ。

のんびりしているように見えても当時の人たちは、今の人たちよりかなり「死」を身近に感じていたのではないでしょうか。

原爆のシーンも、ほんとにあんな感じだったってことなんでしょうね。

のんびりしてるように見えるすずさんの複雑な心境が胸にせまる

とってものんびりしてて、ちょっとマヌケっぽいところもある癒し系女子なすずさん。

でも、すずさんの心のなかは、すごく複雑な心境になっていることが映画を観ていると分かります。

水原さんと周作さん、二人の男へのすずさんの想い。

北條家に嫁ぐという人生を歩む自分への想い。

いろいろなことがすずさんの胸中にあるんですよね。

映画後半で義理の姉の径子がすずさんに言ったすずさんの人生についてのセリフへのすずさんの態度が、これまたなんともいえない。

もうちょっと昔、すずさんの祖母ぐらいの年代であれば嫁に行ってっていう生き方は当たり前であり自分の人生に疑問をもつ女性は少なかったのかも。

それがすずさんの年代になるとモガっていう言葉があったり径子のような生き方を選択する人が増えていたりしていたのでしょう。

しかもすずさんは絵を描くことが好きだった。

映画後半で水原がすずさんの絵について、語気荒くなったのが印象的でした。

まとめ

まだまだ「この世界の片隅に」について書き足りないです。

いろいろなものが入っている映画ですよね。

そして戦争末期を描きますから、当時の世界状況を踏まえた様々な視点からの感想というのがあるでしょう。

初めて観たときは分からなかったシーンやセリフについて、繰り返し観たり「この世界の片隅に」関連の情報を読んだりして、だんだんと理解できるようになってきました。

敗戦のときのすずさんのセリフの意味するところなんかも、なんとなく分かってきたように思います。

このあたりのことも、また書いてみたいですね。ネタバレありっていう体裁で。

戦争末期の世界情勢・政治状況であり、人間社会ですから「この世界の片隅に」の前半で描かれる世界ってほんわかしているように見えても、いろいろとあるのだろうし、様々な人々が暮らしていたという事実もあるのでしょう。

歴史は勝者が作るものと言われたりします。

ですが「この世界の片隅に」は当時のすずさんみたいないわゆる一般的庶民とも言えるような人からの視点で描かれた当時の世界観・空気感としては、かなりリアルなほうなのではないでしょうか。

そんな当時の暮らしのなかで、すずさんは健気に懸命に自分なりに生きている姿を見せてくれます。

そんなすずさんの愛らしい様子に惹かれるのでしょう。

「この世界の片隅に」を観て思ったのは、すずさんの時代より今の日本に住んでいる僕の周りの世界って、なんて自由にあふれているんだろうっていうことでした。

「悲しくてやりきれない」を聴きつつ「この世界の片隅に」を思い出しつつ丁寧に丁寧に自分と向き合いながら生きていこうと思いました。

視聴可能な動画配信サービス

iTunesストアでHD画質を「購入」するとメイキング映像の特典付きです。(SD画質購入やレンタルだと特典なしです。)

FODプレミアムは「この世界の片隅に」の原作コミック電子書籍版上中下巻も配信中です。

※2018年4月29日時点での配信情報です。配信または見放題が終了している場合がございます。最新の配信状況については各サービス公式サイト・アプリにてご確認ください。

スポンサーリンク
レンタングル大